工数見積はつらい

2021年の仕事を昨日終えた。

出向で大手SIer社員として働いた今年は、去年自分が想像していた年末とは全く異なる場所にいる。

 

今年は内面的にも昨年とは全く異なる気持ちで年末を迎えている。

2022年は転職する意思を固めた。

 

これまでの3年間は社内でしか評価されない育成中の人間だったが、この3年がバネとなり、今年は社内外で仕事を認めてもらえた飛躍(?)の1年だったと思う。

やる仕事の内容もただの開発だけではなくなり、営業、プリセールス、見積もり、開発、PJマネジメント、人材育成など今まで経験していなかった多くの仕事に触れた。

その中で、「自分はこれからもこの仕事で食っていくのか?」という課題を考える時間が多くなったのだが、タイトルに有る工数見積はこの課題に対して「NO」という結論を導いた一因だ。

 

 

 

工数見積なんて大嫌いだ

今年まともな工数見積を初めて経験して、僕は工数見積というものが大嫌いになった。

「嫌な仕事」というレベルではなく、今後もこの仕事をずっとすると思うと精神的に自分は耐え難い。

僕が感じた精神的な負担は以下のようなもの。

  • 価格が高いの一声で工数削減を迫られる。なのに、見積り担当(自分)が工数を削ってPJが炎上したら責任を感じざるを得ない。
  • 未経験者ばかりの組織では誰も自分の見積をレビューできず、責任が自分に集中する(しているように感じる)。
  • 顧客と社内承認の板挟み。
  • 何もわからない奴らの理解と承認を得るためだけの資料作成に感じる不毛さ。
  • 結局のところやってみなきゃわからないという恐怖。

 

2つ目がなければいくらかストレスが軽減されるのかもしれない。

見積で見逃していた観点が頭に浮かぶたび、胃が痛くなる。

今年は見積したPJにそのまま開発者としても関わることになったが、自分だけでカバーしきれる規模ではないため、社外から来てもらう派遣社員や委託社員の方、それぞれの所属会社にも負担を強いることになると考えてしまい、暗い気持ちになる。

でも今のペースで仕事をこなすと、きっと僕の仕事は開発よりどんどんこういう仕事が増えていくんだ。そして何かあったとき、今は管理職が謝罪に赴くが、いずれそのお鉢が自分に回ってくるんだ。その時自分はこの仕事にやりがいを見いだせるかな?

そう思うと今の仕事を続けていく気持ちを持てない。

 

世の中には有名な見積手法がいくらか存在するが、結局経験頼みにならざるを得ないと自分は思っている。

しかもPJメンバーによっていくらでも工数は変化する。当たり前だ。

「このデータエクセルにまとめといて」程度の仕事でさえ、2時間で終わる人もいれば半日かかる人だっている。

なんなら自分がやるにしたって忙しいときはすぐ片付けるが、暇な日はのんびり倍の時間かけてやるときだってある。

所詮工数見積などというものはどこまで行っても皮算用でしか無い。

 

工数見積で必要なもの

ただ大切なのは工数見積の善悪ではなく、仕事をやる上での覚悟だと思う。

システム開発の予算を出すには時間×単価で工数を見積もる以外、ベンダー/顧客双方に納得感のある価格の導き方は僕もわからない。

それでも仕事としていく以上、ベンダー側の見積り担当は「この金額をいただければ責任を持って仕事をやりきる」という覚悟を持つ必要があるのだと思う。

世の中には自分が開発しないからと適当な見積で受注する無責任な輩もいるが、自分はそうはなりたくない。でも、覚悟を持ってやるなら、

  • 自分が開発者としてPJに関与すること
  • 期間・費用・メンバーもある程度自分の意向に沿った範囲内で組めること
  • 無意味な社内レビューではなく、有識者から適切なレビューをもらえること

この3点が整った環境を用意してほしい。

 

 

 

 

僕は今年出向したことで、大手SIerではこの環境が手に入らないことがわかった。

そして、自分の会社でもこの環境は手に入らないと思っている。(きっと見積をたくさんやる頃には開発者として関われないだろう)

 

SI業をしている限りこの問題を避けられないなら、違う道を若いうちから模索したほうが良いと考える2021年の年末。