ITエンジニアは社会を変えられるのか
僕は今年予定している転職でIT以外の業界を考えている。
僕の会社はIT企業なので、周りの人は転職先も転職元もIT企業であることが多い。
そんな中でなぜIT企業から出ようと思っているかを書きたい。
ITの効果は偉大だが、ITそのものに力は無い
僕はデータ活用をすすめる仕事をしているが、そんな中で思うのは「ITの効果はすごいけれども、ITそのもには大した力は無い」ということだ。
最近はDXとか言われてDX銘柄に選ばれた会社は株価が上がったりしており、IT後進国の日本では猫も杓子も「DX!DX!」「IT!IT!」とか叫んでる。ただ、データ活用という比較的DXなどと言われるようなIT領域を専門としている自分からすると、ITは銀の弾丸なんかではない。
ITという武器は非常に高度だが、結局は道具でしか無いということに気づかず、世の中はITへ過度な期待をしていると思う。顧客からもそういう雰囲気を感じることは多い。
でも結局武器の効果は所有者の力量に問われるのだ。
例えばSalesforceという草薙の剣の一振りで、とんでもない効果を上げている会社もいるが、その一方で剣を使い切れずゴミ箱に捨て「この刀はゴミだ」というユーザー企業もごまんとある。
ITの難しさは、どんなに強い武器でもそのままで自分たちに合うとは限らず、若干自分用にカスタマイズしなければならないところにもある。
また、そもそも武器に合う合わないがあるのも事実だと思う。
結局草薙の剣を持って草薙の剣たる一振りを放てたユーザーというのは、自分に合う武器の見極め、武器の微調整、そして振る修行を忍耐強くやり遂げたユーザーということだ。
この現実を体感した僕は、本当にすごいのは武器(=IT)ではなく、所有者(=ユーザー)ではないかと思っている。
ITエンジニアとして仕事をする意味
社会人も4年目になって、自分の仕事人生をどうするか考える時間が増えた。
そんな中で仕事をする意味というのは「この世界をより良くすること」じゃないかと思い始めている。
漠然とだが、仕事を引退するときや死ぬときに「自分がいたおかげで、この世界もちょっとは良くなったな」と思えたらそれが良い仕事人生と言えるんじゃないだろうか。
こんなことを考える中で次に思うのは、僕の今の仕事は世界を良くしているのか?ということだ。
正直に言ってNOだと思う。
先程の武器の話で言うと、僕の仕事は武器を売り、微調整し、振り方を教える仕事だが、正直こいつら武器を渡したところでなんの意味も感じられない客がいる。
また、独りよがりにやたらカスタマイズしたがるが、その実「前に持ってた刀がこうだったからこれもそうしろ」とか言って全然武器の特徴を活かせない要望をしてくることもある。
さらにこの客が「武器作ったし、俺の仕事完了!」とかいう考えの持ち主だと、せっかくの武器がその効果を対して見せることもなく朽ちていくのだ。
僕の仕事が社会的に意味を持つには顧客の力量がかなり影響する。
これが他者の問題。
もう一つ嫌なのが、そもそも僕たちはこの武器を教えるに値するとは言えないところだ。
IT企業(僕の中ではSIerやITコンサル)というのは顧客に「この武器はこんなことができて、すごくて、しかも私達はあなたに合った武器をいくつもの中から選び、カスタマイズをして使い方まで教えます」という仕事なのだが、その大半をIT企業はできていない。
ただ冷静に考えてほしい。
武器商人が武器の所有者として一流なのか、ということを。
- ITの力を社会に反映する際、ユーザーの力量に左右されてしまう。
- そもそもIT企業がITの力を社会に伝える力量をもっているわけではない
この2つの疑問を感じている僕は、IT企業ではなく事業会社へ転職する考えを持ち始めている。
ITを使った仕事の理想像
ここまで散々IT企業の仕事内容をこき下ろしてきたが、そうは言いつつもITの必要意義は十分に信じている。
これからもBIエンジニアとして培った経験は活かしたい。
そんな僕の今の理想は
- 社会を良くするために直接行動している会社で
- 事業そのものに直接関わり
- その中でITの力を使って事業をサポートしていく
そんな仕事だ。
社会を良くするというと大げさだが、例えば食料自給率が低下している日本では農家は社会を良くするための立派な仕事だと思う。
そうした事業をしている会社で、情報システム部門などという社内御用聞きではなく、事業そのものに携わることで現場を理解し、その中でITに関する僕の経験やノウハウを使って事業をサポートしていきたい。
ITエンジニアとしての僕の単価はXXX万円もするが、僕が会社にいればそれと同等の仕事を他の社員と同じ給料でできる。しかも中の人間なので契約にも縛られず、会議の時間も最小限で済み、迅速かつより良いシステムの構築ができるんじゃないだろうか。
事業の発展に合わせて機能の修正・追加もリアルタイムに行っていける。
こういう仕事で今までITと無縁だった場所に新たな武器を届け、それが直接社会を発展さる効果を持つと思うとワクワクする。
また、エンジニア的な観点でもユーザー側のノウハウが身につくので、非常に貴重な経験だ。(正直コンサル業に対してはユーザーのノウハウをもってこそ真のコンサルなのでは?と思ってる)
最後に
こんなまだるっこしい文をブログで書くのは、「もしかしてこういう人を欲している会社の人がコメントくれたりしないかな?」なんて淡い期待があったりします・・・笑
今の仕事の都合を中途半端に投げたくないので、4月以降に転職活動をする予定です。
僕のような考えはエンジニアの中では少数派だと思うので、もし面白いやつだとか思ってくださった場合はお声掛けいただけるととっても嬉しいです。
長文お読みいただきありがとうございました。
おやすみなさい。